Justeco お金と経済ノート

日米がそろって円を買ったとみられる アメリカが売ったのはドルではなくユーロ【2026年8月】

ひとことで言うと:円安を止めるために、日本だけでなくアメリカも一緒に円を買ったとみられています。日米がそろって円を買うのは約28年ぶりです。しかもアメリカが売ったのはドルではなくユーロだと報じられました。

この記事は2026年8月2日時点で報じられている内容をまとめたものです。日米とも当局は介入を公式に認めていません。相場は刻々と動きます。特定の銘柄・商品をすすめるものではありません。投資はご自身の判断と責任で。

為替介入って何をすること?

国が自分で通貨を売り買いすることです。

円安を止めたいときは、円を買います。買う人が増えれば、その分だけ円の値段は上がります。日本では財務大臣が実施を決めて、日銀が実際の売り買いを行います。

ただし、世界の為替市場で1日にやり取りされる量に比べると、国が動かせる量はごくわずかです。だから効き目は長く続かないことが多く、「時間かせぎ」と言われます。

今回、何が起きたと報じられているか

日 誰が 何をしたとみられるか
7月30日 日本の政府・日銀 ドルを売って円を買った(前回は5月上旬)
7月31日以降 日本の政府・日銀 断続的に繰り返した(「波状の介入」と報じられている)
7月31日 アメリカの財務省 ユーロを売って円を買った

日本側の7月30日の動きは、6兆円を超える規模だったと当初推計されました。その後、日銀の当座預金のデータから8兆円台だった可能性も報じられています。いずれも市場の推計で、財務省の公式な実績が出るのは8月末です。

円相場は162円台後半から157円台まで、50分ほどで5円近く円高に動きました。ただしこの日はアメリカの経済指標が弱かったことも重なっており、動いた理由が介入だけだったとは言えません。

アメリカ側の規模は公表されていません。7月31日の閣議で、ベッセント財務長官の手元にあった「やることリスト」が報道カメラに写り、そこに円を50億〜100億ドル(約7,900億〜1兆6,000億円)買うと書かれていたと報じられました。これは予定として書かれていたもので、実際にその額を買ったという記録ではありません。

まず押さえておきたいこと:どれも「公式には認められていない」

ここまで書いたことは、すべて報道にもとづく話です。

片山財務相は7月31日、介入をしたかどうかについて「お答えできない」と述べています。アメリカの財務省も取材に答えていません。「アメリカがユーロを売った」という部分は、英フィナンシャル・タイムズの報道が出どころで、日本の各社はそれを伝える形です。

報じている各社も表現をぼかしています。時事通信は「協調介入か」、NHKは「協調介入であれば異例」、日本経済新聞は「共同歩調をとったもよう」。この記事もその前提で読んでください。

どこが異例なのか

異例とされる点は2つあります。

①日本だけでなくアメリカも円を買った

普通、円安を止めたいのは日本です。円が安いと、輸入するものの値段が上がり、日本の家計が苦しくなるからです。

今回はそこにアメリカが加わったとみられています。日米がそろって円を買う介入は、1998年6月以来、約28年ぶりです。当時はアジア通貨危機に加えて、日本で金融機関の破綻が相次ぎ、金融システムへの不安が広がっていた時期でした。

なお、2011年の東日本大震災のあとにも日米が一緒に動いていますが、あのときは円を売る側でした。「円を買う」介入でそろうのが28年ぶり、という話です。

これが持つ意味は、金額よりもメッセージのほうにあります。日本だけが動いていれば「日本が困っているだけ」に見えます。アメリカも一緒に動けば「行き過ぎた円安は、アメリカから見ても困る」という話になります。市場に対しての伝わり方が変わります。

②アメリカが売ったのはドルではなくユーロ

ここが今回のいちばん変わっている点です。

円を買うには、何かを売らなければいけません。アメリカが売ったのは、自国のドルではなく、手元に持っていたユーロだったと報じられました。

これまでアメリカの為替介入は、財務省の基金と、FRB(アメリカの中央銀行)が半分ずつお金を出す形が通例でした。1998年のときもそうです。今回は財務省が単独で動いたと報じられており、そこも通例とは違います。

ドルを売らなかった理由について、アメリカ政府からの公式な説明は出ていません。市場関係者の見方として言われているのは、ドルを売ると自国の金融に直接影響が及ぶため、財務省だけでは動きにくい、というものです。手元のユーロを売るほうが早く動ける、という説明です。

「ユーロしか持っていなかった」という話ではありません。アメリカの基金はドル建ての資産も持っています。あくまで、動きやすさを選んだ結果とみられています。

それでも円安は止まるのか

介入とみられる動きのあと、円は157円台まで上がりました。ただしその後いったん160円を超えて戻り、また157円台に上がる、という行ったり来たりになっています。

一度で止まらないのは、円安の理由が1つではないからです。

よく言われるのが日本とアメリカの金利差です。金利が高いほうにお金は集まるので、金利差があるとドルを買って円を売る動きが出ます。

ただし今回、この説明だけでは足りません。日銀は6月に利上げして政策金利は1.0%になりました。アメリカのほうは利下げが止まっていて、金利差はむしろ縮まっています。それなのに7月には163円台という39年ぶりの円安になりました。

金利差以外に挙げられているのは、政府の積極的な財政への見方、エネルギーの輸入コスト、日本の投資家が海外に資金を出す動きなどです。理由が1つに絞れないというのが、今のところの正直なところです。

介入は流れを一時的に押し戻すもので、理由そのものを消すものではありません。だから「時間かせぎ」と言われます。

私たちの生活とどうつながる?

円安が進むと、輸入するものの値段が上がります。食べ物、燃料、電気代。海外旅行も高くなります。

逆に円高に戻ると、その圧力は少し弱まります。ただし今回のように数円動いただけでは、店頭の値段にすぐ反映されるわけではありません。値段は仕入れの時期にずれて効いてきます。

ニュースで「介入」と聞いたときは、円が急に動いた直後だと思って見てください。そのときは相場が荒れています。慌てて何かを売り買いする場面ではありません。

まとめ

  • 7月30日に日本の政府・日銀が、7月31日にアメリカの財務省が、それぞれ円を買う介入を実施したとみられている。どちらも公式には認められていない
  • 日米がそろって円を買うのは1998年6月以来、約28年ぶり
  • アメリカが売ったのはドルではなくユーロと報じられた。ドルを売ると自国の金融に影響が及ぶため、という見方が出ているが、公式な説明はない
  • 円は162円台後半から157円台へ。ただし一度160円超に戻り、再び157円台と、行ったり来たりしている
  • 円安の理由は1つではない。金利差はむしろ縮まっているのに円安が進んだ。介入は流れを止めるものではなく、時間をかせぐもの

出典・参考


これは個人の見解です。投資は最終的に自己責任で。

※この記事は最新情報に合わせて加筆・修正することがあります。内容に誤りや古い点があればお問い合わせからお知らせください。

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