暴落時にやってはいけないこと──下落相場で資産を守る心構え
長期投資を続けていれば、資産が大きく目減りする「暴落」には、ほぼ確実にいつか遭遇します。問題は暴落が来るかどうかではなく、来たときに何をするか(しないか)です。この記事では、下落相場で投資家が陥りやすい行動と、その対策を解説します。
前提:暴落は「異常事態」ではない
過去の株式市場は、長期的には成長してきた一方で、途中で何度も大きな下落を経験しています。数年に一度は調整局面が訪れるのが市場の常といってよく、暴落は長期投資に織り込んでおくべき前提条件です。「暴落が来ない投資」は存在しない、というところから始めましょう。
やってはいけないこと1:狼狽売り
最も典型的な失敗が、恐怖に駆られて保有資産を売ってしまう「狼狽売り」です。
売却するまで、下落は画面上の評価損にすぎません。売った瞬間に損失が確定します。さらに、過去の回復局面では、上昇の多くが短期間に集中する傾向があり、怖くなって市場から離れていた人はその回復を取り逃しやすくなります。底で売って回復後に買い戻す行動は、「高く買って安く売る」を自ら実行しているのと同じです。
やってはいけないこと2:積立をやめる
暴落時に積立を停止するのも、もったいない行動になりやすい選択です。積立投資は、価格が安いときに多くの口数を買える仕組みです。つまり下落局面は、同じ金額でより多くを仕込める時期でもあります。怖い時期にこそ機械的に買い続けられることが積立の強みであり、そこで止めてしまうと強みを手放すことになります。
やってはいけないこと3:一発逆転を狙う
下落で被った損失を取り返そうと、信用取引やレバレッジ型商品(値動きが数倍になる商品)、一つの銘柄への集中投資に走るのも危険です。リスクを増やして損失を取り返そうとする行動は、さらに大きな損失につながる可能性があります。
暴落が来る前にできる備え
暴落時に冷静に行動できるかどうかは、実は平時の準備でほぼ決まります。生活費の数か月分から1年分程度を目安とする生活防衛資金を現預金で確保しておけば、下落の最中に投資資産を売って生活費に充てる、という最悪の展開を避けやすくなります。また、過去の大きな金融危機では、主要な株価指数が半分近くまで下落した局面もありました。「自分の資産が半分になったら」とあらかじめ具体的に想像しておくだけでも、実際の下落時の動揺はかなり違ってきます。
「続ければ必ず報われる」わけではない
ここまで「続けることの大切さ」を述べてきましたが、一つ正直に付け加えます。過去に市場が回復してきたことは、将来も必ず回復するという保証ではありません。「絶対に戻るから大丈夫」という思い込みもまた、危険な考え方です。
だからこそ、続けるための条件が重要になります。投資は当面使わない余裕資金で行うこと。そして、自分が耐えられる下落の範囲(リスク許容度)に収まる配分にしておくことです。暴落時に売らずにいられるかは、暴落が来る前の設計でほぼ決まっています。この点は別記事『リスク許容度と資産配分』で詳しく解説しています。
まとめ
- 暴落は長期投資の前提条件であり、いつか必ず遭遇するものと考える
- 狼狽売りは損失を確定させ、回復局面を取り逃す機会損失につながりやすい
- 積立の停止は「安く多く買える時期」を手放す行動になりやすい
- 損失を取り返そうとリスクを上げる行動は危険
- ただし「必ず戻る」保証はない。余裕資金とリスク許容度の範囲で続けることが前提
よくある質問
- Q1. 暴落が来そうなので、事前に売って避けるのはだめですか?
- A. 下落の開始と終わりを正確に当て続けることは、プロでも極めて困難とされます。売り抜けに成功しても、買い戻すタイミングを逃して回復を取り逃すケースが少なくありません。
- Q2. 暴落時は買い増しのチャンスですか?
- A. 安く買える局面ではありますが、底がどこかは誰にもわかりません。生活防衛資金を取り崩してまで買い増すのは本末転倒です。最終的な判断は個別の状況によりますので、投資は自己責任で、無理のない範囲にとどめてください。
- Q3. 評価損に耐えられず夜も眠れません。どうすればよいですか?
- A. その状態は、取っているリスクが許容度を超えているサインかもしれません。全額売却ではなく、積立額や株式比率を一段下げるなど、続けられる水準に調整する方法も検討の余地があります。